なんか本当にそうなんですよねぇ。

僕は美容師としてこの道に入り約10年がたちます。(小学校1年からスタートとすると小1から高1になるくらいの期間ですね。早いなぁ。)
始めは学生気分も抜けずもちろん何もできず、足手まとい以外の何物でもない。そしてなぜ自分が怒られるのかすら分からない。自分の存在価値が見出せないスタートでした。

でもそんな時でも1『あなた新人さん?がんばってね^ ^』と声をかけてくれたお客様。

凄い嬉しかったなぁ。そう言ってくれたお客様にただ単純に

褒めてもらいたかった。

次その人が来てくれた時には少しはマシな自分でいたかった。少しでも大きな声で挨拶したり、無い金はたいて服装も更に気合い入れたり、見えるように掃除してますアピールしたり。痛いな>_<

美容師アシスタントの最初の仕事の代名詞【シャンプー】。テストは厳しかった。だけどあのお客様にシャンプーマンとして入りたかった!!気持ちいい!上手と言われたかった。ただそれだけ。合格をもらい先輩のお墨付きで晴れてシャンプーマン!!多少の努力が実ってかシャンプー指名を頂けた^ ^次はこのお客様に提供できるのは【パーマ】だ!!(パーマをかけるお客様だったので)課題のパーマを巻く練習。早く仕事中にパーマを巻きたい。ただそれだけ。合格し、パーマを巻かせてもらう事ができた。お客様からも2すごいねぇ。なら今度はカラー塗ってね

仕事がちょっと楽しくなってきた。もちろんカラーは先輩がいても『俺が塗るからどけどけ〜〜!!!』と言わんばかりに道具を握り準備するタイミングを計っていた。

ご挨拶→席にお通し→先輩がカウンセリング→カラーorパーマ→シャンプー

よしよし!シャンプーの指名も頂きカラーやパーマもでき…ふんふん。

お客様もご機嫌。『今日は乾かしてくれるの?』


…ん?あれ??
俺ブローできない!!!!!!!!!!

先輩アシスタントがブローしている姿が眩しかった。いや悔しかった。ましてや同期が先にブローに受かれば俺は……(今思えばそんなのどうでもいいんですが心が特に狭かったんですねぇ。)

練習した。営業後の練習はキツイ。そんなの当然だ。人によるかもしれないが僕は練習を楽しむという感覚が正直あまりない。というか分からない。上手くなっている自分がお客様をキレイにしているのを想像して修行している感覚。

ブローに合格し念願のお客様へのブロー。なぜか少し天狗な僕。ブラシを通し、ドライヤーを当てて…

お客様が『あつっ!!!』

担当の先輩が走ってきてあえなく交代。

僕のミスへの謝罪と正確無比なブローでお客様は笑顔に。

先輩への羨望と共に情けない自分…

それでもお客様は。3『次またブローしてね。というか私の頭で練習して上手くなって。』

最早頭が上がらない…

このお客様のご好意でお世辞にも上手とは言えなかった僕のブローテクニックは鍛えられ色々なお客様からもお褒めの言葉を頂けるようになった。

この頃からストレートやアイロン、複雑なカラーやパーマも同時に勉強しだす。
最初のカウンセリングとカット以外は全てアシストさせてもらう立場になった。ここで始めて提案というものを覚えた。
ブローも終わり、先輩担当者の最後のチェックが終わりお帰り…なんですが、

『この後⚪︎⚪︎行くなら少し髪巻いて行きませんか??』

ずっとアシストさせて頂くと、時には担当者以上にお話しさせてもらう事も多々あります。髪質やお好みなど多少は分かっているつもりです。

お客様は『ならそうしようかなぁ。』

コテで巻くのには少々自身のあった僕は(多分そんなに上手くなかった)得意げに提案させて貰っていた。

4『ありがとう』

すごく喜んでくれたのが嬉しかった。
2年11ヶ月後

本村正文 晴れてスタイリスト(ハサミを持ち、お客様を担当させてもらう者)デビュー!!
お客様も喜んでくれた。

そして『本ちゃん切れるようになったんなら今度からお願いしよっかな。』
凄く嬉しい事ですが、とんでもない!僕なんかまだまだですので今まで通り先輩担当者が…
そんなやり取りしていると隣から

『僕は副担当者なのでいつもの本村に是非今度から担当させてやってください』

と、先輩担当者が一言。

あっこの先輩担当者というのはウチの社長ですね。

以来5年間、店舗移動があった時もずっと僕が担当させてもらっています。
そして今もウチの後輩スタッフに優しく声をかけてくれます。あの時の僕にしてくれたように。

だからウチの後輩アシスタントの皆も、どんどん成長させてもらっていると思います。

『僕は副担当者だからいつもの⚪︎⚪︎に是非担当させてやってください。』

会社としては1番理想的だとは思うのですが

まだ言えねーーーー!!!!
だってまだまだずっと俺が担当したいから!!
でもいつでも選ぶのはお客様。
だからアシスタントの皆。毎日俺と勝負しよう。

ふはは。